国内の携帯電話業界は基本的に内向きな状態にある。これは日本市場が非常に大きく、国内市場だけでビジネスとして成り立っていたからである。しかしながらスマートフォンが登場し、急速に普及すると日本独自のハードウェアデバイスやサービスは逆に足枷となるようになってきた。一度普及し、標準化されたものを覆すことはなかなか難しい。本来であればこのような状況にならないように努力すべきであったが、こうなってしまった以上は積極的に競争を行うようにならなければならない。まずは SIM ロックを解除し、ハードウェアとキャリアを分割し、競争を行うことが大切である。また国内限定の機種をいかにグローバルモデルに成長させられるかが今後の課題といえる。
スマートフォンは突如として生まれたわけではなく、それ以前から散発的に登場してきた。iPhone はそれらの要素技術を非常に巧みに利用し、統合した象徴的なデバイスだった。スマートフォンには従来のようにデバイス固有のOSではなく、Android 端末には Android OS、iPhone には iOS といった汎用的なOSが搭載されており、また開発環境も広く公開されている。これはインテグラル型の手法によって開発された従来の電話機ではなく、モジュール型の手法で開発されたPCに非常に近いアーキテクチャを有している。そのため、ハードウェアやソフトウェア共に新規参入がしやすく、国際的な競争が激しくなっている。